2015年4月8日 開設

このWebサイトは、作品・文献等の資料保存と博士研究の「見える化」及び記述訓練を兼ねて製作されました。​

「国内外で活躍する美術作家・RYO KAJITANIがあなたをアーティスティックに描きます」は、2019年09月13日から始まったSHOWROOMオーディション。一位入賞者にオリジナルの美術作品をA2サイズのポスター形式で50枚進呈。この特設ページでは、一位入賞者に寄贈した歴代の作品を入賞者と共に紹介します。

Vol.1 2019/09/13 18:00 - 09/23 21:59

第1回オーディションページはこちら

1位入賞者 心乃音(このね)さん

​所属グループ COLORLESS【公式】

(株式会社エーライツ所属)

Ms. KONONE is a member of the girls performance unit "COLORLESS" working in Fukuoka and Yamaguchi. This time,

I found out She is going to go to Tokyo from Yamaguchi, In addition to winning work, I decided to give the artwork with surprise. The work which I sended this time is an A3 elongation size Print. I sended two pieces of work with a certificate of authenticity.

This work is a digital print which painting space which is composed of 100 layers or more. Especially, the layer of the scenery in the back of the window frame is translucent, and all layers (colors) influence each other. In other words, it uses the characteristic of changing to a dark color tone when a lot of color material mixes, and generates the night view of the city.

 

The printing method is a method to spray dye ink called "Geclee Archival Print". Because the color changes greatly depending on the type of the paper to be printed, the output decision also takes time. 

In printing, the soft and warm atmosphere of KONONE was reproduced by printing on cotton paper with soft texture. The pastel pink of the wall has a faint yellow taste, and the color of warm color etc.harmonizes well with cotton. The stuffed toy and the powdered green tea of the tempura were the items that She put in mind, and arranged the character of KONONE.

and furthermore, I gave a Original data to KONONE, and that the artwork can be utilized in all performing activities that will continue in the future.

reference:ラブリーサマーちゃん「私の好きなもの」

(2019年9月16日)

 心乃音(このね)さんは福岡・山口を拠点に活動するガールズパフォーマンスユニット「COLORLESS」のメンバー。今回はるばる山口から上京されると知り、入賞特典とは別にサプライズで絵画を贈呈しました。今回贈呈した作品はA3ノビサイズのジクレープリント。エディション全2枚で証明書を添えました。

 本作は、100層以上からなる独立したレイヤー(木版画でいう版木に当たる部分)を順序毎に重ねていくことで1枚の絵画空間を構成したデジタル版画です。特に窓枠の奥の景色のレイヤー層はそれぞれが半透明で、前後ないし全ての層(が持つ色彩)が影響し合うことで色彩が発生しています。つまり多数の色材が混ざり合うと暗い色調へと転調していく特徴を利用することで、都市の夜景を生成しています。

 印刷手法はGeclee Archival Printと呼ばれる染料インクを吹き付ける手法で、高い色再現性と保存期間を実現。印刷出力する用紙の種類によっても発色は大きく変わるため、出力決定にも時間を要します。洋紙/和紙の大局的な選択肢の他、紙表面の光沢、マット、粒子感など、支持体によって雰囲気が変化します。

 今回は、柔らかな風合いが特徴的なコットンペーパーに印刷出力することで、心乃音さんの柔らかで温かい雰囲気を再現しました。壁のパステルピンクは仄かに黄色味を持たせており、暖色系等の色彩がコットンとよく調和します。くまのぬいぐるみや抹茶は心乃音さんが心を寄せるアイテムで、それらを部屋に配置することで心乃音さんのキャラクターを構成しました。

 今回は原本となるデジタルデータも併せて贈呈することで、今後続くあらゆる芸能活動においても作品を活用できるように配慮しました。

参考:ラブリーサマーちゃん「私の好きなもの」

(2019年9月16日)

​梶谷 令(読み:かじたに りょう)について

 梶谷さんは、かつて「検索してはいけない言葉」という都市伝説として、ホラー調子の作品で一世を風靡した日本の美術家、研究者、モデルである。世界の終焉を思わせるような退廃的な作風は、画家の立島夕子さんや、ポーランドのズジスワフ・ベクシンスキーさんらと共に国内で注目を集めた。改まって「制作者」と言うのは、彼女は美術家や画家や芸術家といった肩書から距離を置き、「単なるヒト」として制作に従事することに終始一貫しているからだ。
 中性的な容姿や生い立ちは、その作風と地続きであり、幼少期から作品に登場する人物の性差を考えたことがなかったという。つまり彼女は、男女の分別からさらに進んで、まさしく根底的に「ヒト」を見ていた。今年春には母校の多摩美術大学において、学位請求論文「展示空間における芸術活動の行方 ――ハイデッガー『芸術作品の根源』に基づく存在論的美学を手掛かりに―― 」で博士号を取得*1。研究者としてのキャリアをスタートした。本論文は、画廊や美術館をはじめとする展示空間と、芸術の哲学である存在論的美学のメソッドを、制作者である梶谷さん自身が媒介役となって結びつけた制作者ならではの意欲作だ。また本論文には、男女のそれでも芸術家や画家のそれでもない、いわば赤裸々なヒトとして制作に打ち込む彼女の姿が克明に刻まれている。論考の難所ではカラー図解が度々登場し、所々で理解を助けてくれるのも図像的理解に心を寄せる梶谷さんらしい。
 彼女は大学時代、日本の伝統芸術でもある油性木版画を専攻した一方で、PCを用いたデジタルイラストやフォトコラージュ、細密な鉛筆素描など幅広く手掛けた。イギリスの芸術誌「 Peripheral ARTeries 」では、トランスジェンダー特有の宙吊りの身体観について初めて扱ったフォトコラージュ作品「Who am I?」が巻頭を飾り、異例の30ページに渡って特集が組まれた*2。今年の9月半ばには横浜のf.e.i art gallery で学位取得後初の個展を控えるなど、美術を軸に国内外で活躍している*3

​→詳しい経歴はこちら

*1博士学位請求論文(甲第75号)「展示空間における芸術活動の行方 ――ハイデッガー『芸術作品の根源』に基づく存在論的美学を手掛かりに――
Towards Further Advancement of Artistic Activity in Exhibition Spaces: Exploring through the Ontological Aesthetics based on Heideggerʼs Der Ursprung des Kunstwerkes (The Origin of the Work of Art)」​

*2https://peripheralarteries.yolasite.com/

*3第7回 FEI PRINT AWARD準大賞者展「梶谷令 -見守ること、贈ること- 」​​(f.e.i art gallery及び、一般社団法人日本美術家連盟 助成による)